博物館についてスケジュールカテゴリー別府温泉事典リンク集
HOME地球のはなし>オリンピックの風速計

地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.60
オリンピックの風速計

 2週間余り、ご多分にもれず、体に悪いとかなんとか言いながら、オリンピックの深夜放送を見続けた。たかがスポーツではないかと斜に構えようとしても、鍛え上げた選手たちの競技には引き込まれてしまう。躍動する彼ら彼女らの肉体の、なんと美しいこと。肉離れをおこしたり、アキレス腱を切ったり、転倒したり…一瞬のうちに襲いかかってくる不運。素直に感動し、また、同情した。純な気持ちが、まだ少しは残っているものとみえる。
 選手たちの力量が接近してくると、判定の根拠を判然とさせるために、記録測定の精度の向上が要求されるのは当然だろう。それだけでなく、測定精度の向上は、人間の運動能力の進化を記録するという面からも、大いに意義のあることのように思われる。それにしても、いつの大会からだったか、100分の1秒までの測定が行われるようになって、それほどまでしなければならないのかと、あきれたものだった。
 今度の大会でも、陸上競技のフィールドに超音波風速計があったのにはびっくりした。音の伝わる速さが風に影響されることを利用したもので、おなじみの風車や尾翼なんか付いていない。微妙にうつろう風の乱れを対象にする研究ならいざしらず、陸上競技には従来のもので十分ではないかと思ったりしたが、これもまた当たり前のことになってしまうのだろう。オリンピックは、計測に関する先端技術が集約される場でもあるらしい。

(このオリンピックは1992年のバルセロナ大会です。)
※超音波風速計の原理 https://prede.com/betu-tyou.html

-1992.8.17-



ページTOP

 

カテゴリー


別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介します。