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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.24
「雲南紀行 4 騰冲の熱海」

 騰冲は、清代には騰越(トンユエ)といった。雲南とミャンマーとを結ぶ路線の要衝で、十九世紀半ばには、イギリスがミャンマーから河をさかのぼって進出した。ということを、帰国後に、大分大学の神戸先生から教わった。そればかりでなく、当時の探検隊の貴重な報告書までお貸しいただいた。多岐にわたる自然や民俗の観察記録の中に、火山や温泉のこともあって、大変おもしろい。温泉地の名前は書いてないのだが、その位置からみて、私たちが第一の目的とした温泉地にほぼ間違いはない。

 その地は騰冲市街の南西にある。直線距離は10キロ余りだが、曲がりくねった山道なので、四、五十分はかかる。到着すると、「参観の入口」と書かれた立派な看板があって、びっくりした。ときどき日本の観光客が来る、とのことである。

 渓流に沿う2キロほどの範囲に、最高97度に達するかなり大量の温泉水が湧き出している。すでに観光客のための通路が整備されていて、地獄でゆでた温泉卵も売っている。食堂も、浴場もある。入浴などの療養を指導する漢方医が常駐しているのは、温泉の適切な利用という点で優れていると思った。

 現在の名前は「熱海」という。1930年ごろに、騰冲出身の政界の重鎮・李根源によって命名されたのだそうだ。日本の熱海に擬したのかどうかは、分からない。

※李 根源(り こんげん)は清末、中華民国、中華人民共和国の軍人・政治家・革命家。中国同盟会創設時からの構成員だが、後に孫文(孫中山)と対立するようになった人物である。(Wikipediaから)

※騰冲(とうちゅう)雲南(うんなん)省西部の県級市、周囲には、騰冲火山群とよばれる新生代の火山群があって、火口湖や溶岩流を形成し、みごとな景観をなすほか、温泉などの地熱資源に富む。(日本大百科全書「ニッポニカ」から)
https://kotobank.jp/word/%E9%A8%B0%E5%86%B2-1568159

※騰冲地熱(アラチャイナ(AraChina)HPから)
中国国内でも、地熱の資源が豊富な場所で、最も有名なのは、騰冲県城から20キロ離れた“熱海”と言われる、面積約9平方キロの騰冲地熱温泉群である。
エリア内には、気泉、温泉が合計80箇所余りあり、見所は、澡堂河瀑布、蛤蟆嘴噴泉、獅子頭、美女池、大滾鍋などがある。 中でも14の温泉群は水温が90℃以上あり、至る所で熱泉が湧き出ているのが見られる。 世界には数多く温泉があるが、騰冲は面積が広く、温泉の数も多く、功能も優れている。 熱海で、最も有名なスポットは“大滾鍋”といい、直径3メートル、水深の1.5メートル、水温97℃の温泉で、一年中熱湯が湧き出ている。 熱海に、牛が誤って落ちたところ、あっという間にゆであがったという言い伝えが残っている。
https://www.arachina.com/kunming/attraction/baoshan.htm


  - 「大分合同新聞夕刊」  1994年6月 -


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別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介します。