2022.12.26
No.76
多忙感のショック
会誌の編集なんか、投稿されてきた論文を集めて印刷所に渡せばよい、くらいに考えていたら、とんでもない誤りだった。大げさでなく、論文は研究者の命であるから、その取り扱いは迅速かつ慎重でなければならない。だから、投稿数が多いと、その処理にかなりの時間を割くことになる。ところが、投稿数がすくないと、スケジュール通りの発行ができるだろうかと気をもむ。いずれにしても、芯が疲れるのに変わりはない。それなのに、その役目を果たしても評価されることはほとんどない。とはいえ、だれかがその作業をしなければ研究も学会も成り立たない。
巡り合わせから、それを背負い込んで、この春に2年間の務めをやっと終えた。やれうれしや、これで余裕ができると期待したのに、この判断は甘かった。時間に追われるのは相変わらずで、多忙感は少しも減らない。
ある会合の懇親会で、期せずしてそんなことが話題になった。たいていは、私とおっつかっつ、50歳前後である。ひとしきり相憐れんだあげく、雑用が押し寄せてきても仕方がない年齢なのかなあとあきらめかけたところで、異見が出た。
年齢のせいには違いないが、処理能力の低落が第一の原因じゃないのか、というのである。そう言われてみれば、思い当たることがないではない。脱字などのささいなミスのために、書類を仕上げるまでの時間が以前より長くなったような気がするのだ。だれもが通る道なのであろうが、ちょっとしたショックである。
別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。
◆一般社団法人日本温泉科学会
◆大分県温泉調査研究会の報告書をご覧になれます。
大分県内の昭和28年からの温泉分析書「大分県鉱泉誌」もあります。
ー1992.10 大分合同新聞 別府版ー
★温泉マイスターnoteにも掲載しています
地球のはなし
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