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2022.6.26

第55回入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編

執筆者温泉マイスター 安藤幹也

 別府八湯のうちの別府温泉には沢山の温泉があります。今回は手湯・足湯や温泉跡など、入浴できない温泉をご紹介しようと思います。
別府駅まえから散策を始めましょう。油屋熊八さんの銅像の横に手湯があります。

(1) 別府駅前広場の手湯

源泉名 駅前広場モニュメント「手湯」、
湧出地 別府市南立石1731-2
泉 温 41.1℃、pH 6.9、
溶存物質合計0.422g、
泉 質 単純温泉
ある日の湯温 44℃ (ベビーバス用温度計による)このモニュメントは、別府名物の温泉を出すだけでなく、別府石と呼ばれる角閃石安山岩でできています。別府は火山の麓の扇状地なので、傾斜地に宅地や田畑などの平地を造成しようとすると別府石がゴロゴロ出て来ます。その別府石を積んで石垣や石塀を作りました。これらも別府の風景の一つです。
2022年5月から、モニュメントが竹で飾られました。竹細工も別府名産品です。この手湯は、別府フロマラソン42.195湯の最後の0.195湯になります。
別府駅前広場の南側、バス停の向かいに、ホテル SEA WAVE 別府があります。

 

(2) ホテルSEAWAVE別府 手湯

ホテル玄関の右側に手湯があります。温泉の鉄分でしょうか、赤い湯垢が溜まっています。
ある日の湯温 43℃、別の日は51℃でした。ホテル SEA WAVE別府 熊八の湯は、別府八湯温泉道の温泉道登録番号196です。
別府駅前広場から駅前通りを東に下り始めると、右手に別府ステーションホテルがあります。


(3) 別府ステーションホテル 熱熱手湯

入口の左側に、手湯があります。熱熱手湯と表示されていますが、ベビーバス用温度計で計測すると50℃ありました。熱いですが、手を浸けるだけなら火傷にはならないようです。イデユコゴメでしょうか、緑色の藻のようなものが目立ちます。
さらに駅前通りを東に下がると、大正13年創建、北欧のハーフティンバーを模したモダンな駅前高等温泉(温泉道登録番号7)があります。


(4) 駅前高等温泉 手湯

駅前高等温泉は、駅前温泉(あつ湯)と高等温泉(ぬる湯)の二つに分かれて、それぞれ源泉を持っています。駅前温泉の方が地元の人が入る温泉、高等温泉の方は観光客に入っていただく温泉だったそうです。入口の前に手湯があります。上の湯溜が38℃、下の湯溜が36℃でした。
ちなみに、手湯の右側に太い塩ビパイプがありますが、ここが駅前温泉の源泉です。左手から路地を入ると、高等温の泉源と駅前町公民館があります。 なお、駅前高等温泉は二階で宿泊できます。大広間1800円、個室2800円。


駅前本町の交差点を対角に渡ると伊予銀行別府支店があります。

(5) 伊予銀行別府支店

明治末から昭和の初めにかけて別府が大きく発展する時期に、愛媛から別府にたくさんの人が移り住み、伊予銀行も別府に支店を作ったようです。伊予銀行別府支店は温泉を持っています。
入口の左側に手湯というか、噴水というか温泉が出ています。「ぜひ一度さわってみてください! ※飲用はできません」と掲示されています。
泉源名 伊予銀行別府支店泉源、
泉温 29.8℃、pH 6.2、遊離二酸化炭素 231.8㎎/L湯口のところでは気泡が見られます。湯温を計ってみると30℃でした。金気臭を感じます。


(6) 海門寺温泉湯かけ地蔵


海門寺温泉湯かけ地蔵

海門寺温泉の入口の右側に「海門寺温泉湯かけ地蔵」が祭られています。「別府石」の「お地蔵さん」にお湯をかけ、我が身の平穏と世の中の安寧をお願いしましょう。
湯かけのお湯は、40℃でした。

海門寺公園を横切って東に向かうとトキワ別府店があります。湯けむり横丁のある地下1階には、足湯があります。


(7) トキワ地下の足湯 (温泉道登録番号 219)


トキワ地下の足湯

源泉名 別府トキワ(足湯)、
湧出地 別府市大字別府字北町767-3、泉温 39.0℃、
pH 6.6、溶存物質合計1.087g、ナトリウム-炭酸水素塩泉
湯元で44℃、下段で41~40℃でした。
トキワのインフォーメイションでは別府八湯温泉道のスパポートが販売されています。また、湯けむり横丁には、「とり天」「別府冷麺」の名店が店を出しており、別府名物を気軽に楽しむことができます。

トキワ地下から地上に出て、駅前通りを渡り、ソルパセオ銀座のアーケードを南に進み、北浜通で右に曲がり西に進むと、左手につるみプレザンビルがあります。


(8) 北浜通 つるみプレザンビル 足湯 夢酔泉


つるみプレザンビル 足湯

掘削震度 100m、
泉温 49.1℃、
泉質 炭酸水素塩泉
この頃、お湯が張られているのを見ていません。
筆者が、夜この辺りを歩き回っていないからでしょうか。

北浜通をさらに西に向かい、次のやよい銀天街のアーケードで左に曲がり、南に進みます。やよい天狗を右手にみて、アーケードの端で右に曲がり、西に進みます。右手に共同温泉跡があります。


(9) 梅園通 中央アパート共同温泉跡


梅園通 中央アパート共同温泉跡

戦後、たくさんの人々が生活した別府の中央市場の中央アパートに今は使われていませんが、共同温泉がありました。
男湯女湯の出入り口を隔てる柱に、「この浴場は組合員並びに月極の者以外入浴出来ません」の看板があります。

反対方向に引き返します。やよい銀天街の道を通り過ぎそのまま東に向かうと、次のソルパセオ銀座のアーケードの手前、右手に梅園温泉(温泉道登録番号14)があります。


(10) 梅園通 梅園温泉の「お福の足湯」と飲泉


梅園温泉の「お福の足湯」

泉温 46.3℃、泉質 単純温泉
梅園温泉は大正5年の創設、平成28年4月発生の熊本大分地震で被災し旧建物取り壊されました。その後全国の多くの方々の支援も受けて、平成30年12月に新築再建されました。その時、足湯併設され、温泉公共飲用利用許可を取得しています。わりと癖もなく飲みやすい温泉です。
湯元の蛇口のところで42℃、足湯の槽で35℃でした。

梅園温泉のお薬師様を拝んで、梅園小路を南に通り抜け、右に曲がり西に進み、次の角で右に曲がり、やよい銀天街の通りを南に進むと、流川通に出る手前右手にやよいの湯があります。


(11) やよいの湯の足湯


やよいの湯の足湯

やよいの湯は料金を投入すると入口のドアが開く仕組みになっていて、別府では珍しい24時間営業の温泉です。
足湯が併設さています。
やよいの湯の料金は200円、足湯は100円です。
足湯は透明、湯温は42℃でした。

流川通りの交差点を渡り、そのまま南に進むと、左手の家の出入り口のところに温泉の余り湯と思われる濡れた場所が見られます。


(12) 流川通 えり章 の裏辺り 民家の余り湯?

さらに桜町通りを南に進むと、秋葉通の交差点の角に看板があり、かすかに「元別府町役場前の湯」の文字が読み取れます。


(13) 秋葉通の元別府町役場前の湯


元別府町役場前の湯

秋葉通の別府市南部出張所・別府市立図書館から交差点を挟んで対角の場所にあります。
看板の下、パイプから温泉の余り湯がバケツに流れ込んでいます。
鉄分のせいでしょうか、金くさい臭いがします。40℃でした。

秋葉通を渡って、さらに南に進みます。いつも行列ができている、大正5年創業の「友永パン屋」があります。ここの建物は昭和10年に建てられ、看板建築様式になっています。
友永パン屋を左にみて、中浜通りを右にまがり、西に進むと、左手の路地の入口に「♨路地裏の情緒 紙屋温泉」の看板があります。看板の案内に従って路地を南に進み、旭通りを渡り、路地を突き当たりまで進み、右に曲がると紙屋温泉(温泉道登録番号11)があります。


(14) 紙屋温泉の飲泉足湯


紙屋温泉の飲泉足湯

紙屋温泉は、明治期からの名湯です。「ゆかしさに誰しも汲んで 飲みやろうぞ 小春わすれぬ 紙屋おんせん」 寒心斎の歌が掲示されています。ここも、別府の地元の人が普段入る共同温泉の御多分に漏れず、なかなかのアチチの温泉です。飲用の適用性として、慢性消化器病・糖尿病・痛風・肝臓病・慢性便秘と書かれています。男性向きの温泉でしょうか。
紙屋薬師如来の左で、飲泉・足湯ができます。まろやかで飲みやすい飲泉です。飲み湯42℃、足湯部分40℃でした。 紙屋温泉の二階が紙屋公民館となっています。

路地を戻って、旭通りを右に曲がり東に進みます。後理髪館の建物角をさらに東に進むと建物の1階部分を通り抜けられ、羽衣小路があります。羽衣小路に入って右を見ると、すでに建物がなくなっていますが、温泉の風呂場跡が見れます。


(15) 羽衣小路の風呂場跡


羽衣小路の風呂場跡

浴槽は板で覆われていますが、年に何度かモーターを動かすとお湯が出て来るそうです。別府八湯温泉道名人会のメンバーが入浴したとの噂があります。
羽衣小路を通り抜けて、東に曲がると楠銀天街のアーケードがあります。アーケードを左に曲がり北に進みます。楠銀天街のアーケードは、昭和28年に松原公園から流川通まで作られた、428mのアーケードです。昭和30・40年代はお土産物屋や一般店舗が並び、観光客や別府市民も集まる賑やかな繁華街でしたが、今は多くの店のシャッターが閉じられ、建物自体も老朽化、さらに歯抜けのように建物が次々と取り壊されて、寂しい通りになっています。秋葉通を渡り、さらに北に進むと右手にミニ公園があります。ミニ公園の北西角にお薬師様が祭られています。


(16) 楠温泉跡


楠温泉跡

楠銀天街のミニ公園は、明治期までの別府温泉を代表する温泉と考えられる、楠温泉の跡地です。
楠温泉の歴史は古く、13世紀に豊後の守護大友家の三代目で、豊後に初めて下向した頼泰が入浴したとも伝えられています。大友頼泰は鎮西東方の奉行として、鎌倉幕府軍を率いて元寇の文永の役(1274年)・弘安の役(1281年)で活躍しています。
幕末の1864年、後に明治の元勲となる長州の井上馨がここで刀傷を癒したことも知られています。
1964年に建てられた4階建て鉄筋コンクリートの楠温泉最後の建物は、2005年に解体されました。別府の共同温泉の三点セット、お風呂・お薬師様・集会所のうち、今はお薬師様だけが残っています。

さらにアーケードを少し北に進み、浮世小路で右に曲がり東に進むと、大正モダンの雰囲気をわずかに残した、寿温泉(温泉道登録番号10)があります。寿温泉は子宝の湯・美肌の湯として、女性にやさしい温泉と知られています。寿温泉から道を挟んで駐車場の三角地があります。柳温泉の跡地です。


(17) 柳温泉跡


柳温泉跡

三角地の西角に柳薬師のお堂があります。ここでも別府の共同温泉三点セットのうちお薬師様だけが残っています。 寿温泉と柳温泉の間に、流川が流れていたそうです。今は暗渠になっていますが、ここから少し下流側で流川の流れをわずかに見られる場所があります。

寿温泉からさらに東に向います。国道10号に出る手前、左手の駐車場の脇からジワッとお湯が湧いているようです。


(18) 霊潮泉跡付近? 道路脇の湧き出し


霊潮泉跡

ゆめタウンは昔の別府港(楠港)の跡地を埋め立てたところ。明治初めに築港された楠港の西側正面に今は無き霊潮泉がありました。1893年(明治25年)、1917年(大正6年)、1938年(昭和13年)、何度も建て替えられているそうです。
湧き出しの温度を計ってみると、49℃でした。満潮時には湧き出しが見られますが、干潮時には地表まで湧き上がっていないように見えます。満潮の時は湯量も多く、温度も高いようです。霊潮泉の潮というのは、潮汐に影響された温泉という意味でしょうか?若干金気臭を感じます。
近くに竹瓦温泉(温泉道登録番号1)があります。また、別府最後の天然砂湯もこの近くです。

交差点の横断歩道で国道10号を渡り、国道に沿って少し北に歩くと、右側に「別府港跡と天然砂湯跡」の石碑が設置されています。


(19) 天然砂湯跡


天然砂湯跡

最初の日田県知事、薩摩の松方正義が明治2年に、明治政府が資金を用立ててやるから、別府に港を作るようにと言ったのが、別府発展のきっかけとなったようです。明治3年から築港を始め、明治4年に完成、明治6年に18トン定員12人の蒸気船益丸が、月一回くらいのペースで大阪との定期航路が開かれると、関西との結びつきができたようです。船も2隻3隻と増え、300トン、1000トン、3000トンと大型化、3日の航路が、2日、1日と高速化するに伴って、別府が発展していきます。
元々別府の海岸は、大部分が砂浜でした。だいたい国道10号のあたりは昔の波打ち際と言えます。港の建設や埋立てにより、今の別府にはほとんど自然の海岸が残っていません。埋め立てられる前は、砂浜で温泉の湧いてくる場所を探し当てれば、いろいろな場所で砂湯が楽しめたのではないでしょうか?だんだん埋立てが進み砂浜がなくなってくると、別府港の北側防波堤外側の付け根あたりが、別府の最後の天然砂湯となりました。それも昭和40年で終了しました。

行程3㎞強、所要時間1時間半ほどですが、入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編は、ここで終了です。


(20) 喫茶なつめ の温泉珈琲


喫茶 なつめ

入浴しない温泉ツアーガイドでお疲れの方には、ソウルパセオ銀座アーケード内の喫茶店「なつめ」の温泉珈琲はいかがでしょうか?

筆者の所属しているボランティアガイド団体、「別府八湯語り部の会」(会長;山村尚志)では、別府駅構内観光案内所まえから出発して、温泉だけでなく別府の歴史を紹介しながら珍しいものを見て歩く、べっぷ街並み散策ガイドを行っています。興味のある方は是非予約の上、ご参加下さい。
(別紙 参照)
また、新しくガイドをしてくれる人を募集しています。ご連絡ください。


喫茶 なつめ

『別府八湯語り部の会』がご案内するボランティアガイドツアー
別府のルーツを巡る べっぷ街並み散策
(受付は9時半から、出発は午前10時、終了は12時半を予定)
「別府八湯語り部の会」のボランティアガイドがご案内します。

〇竹瓦かいわい路地裏散歩(2日前の17時までに要予約)毎週 月・水・金・土および第3・第5日曜日  「入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編」とほぼ同じエリアをご案内します。
(参加料;大人1000円/小学生500円)

〇別府駅前ぶらり散歩(2日前の17時までに要予約)第1日曜日
 「入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編」の主に北のエリアをご案内します。
(参加料;大人1000円/小学生500円)

〇山の手レトロ散策(2日前の17時までに要予約)第2・4日曜日
 「入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編」の主に西のエリア、別府駅より山側のあたりをご案内します。 (参加料;大人1000円/小学生500円)

〇べっぷ街中おもてなしウォーク(1週間前までに要予約)毎週土曜日
 「入浴しない温泉ツアーガイド 別府駅前 編」とほぼ同じエリアで、いろいろな「おやつ」楽しみながら巡る、ご案内をしています。おみやげもあります。 (参加料;大人3000円/小学生1000円)

なお、7/25~8/15、12/28~1/3はお休みしています。
団体は、1週間前までにご予約ください。

*予約方法(電話)平日:別府市観光協会   0977-24-2828
             土日祝:別府八湯語り部の会 070-8474-1854
       (メール) b.kataribe@gmail.com



***新人ボランティアガイド募集中***
別府八湯語り部の会では、私たちと一緒にボランティアガイドをして下さる方を募集しています。
別府の街が好きな方、別府の街に詳しい方、別府の歴史を勉強したい方、お客様と楽しい時間を過ごししませんか。
ガイドの内容は、先輩ガイドがやさしくお教えします。
基礎を覚えていただければ、それぞれの個性に合わせてアレンジしながらお客様をご案内できます。
お客様から、「楽しかった」とお言葉をいただけるのが、一番のやりがいです。
月に何回か、数時間の時間が取れる方であれば可能です。それぞれのメンバーのスケジュールに合わせてガイド担当日を調整します。是非、新人ボランティアガイドの募集に御応募ください。
*お問い合わせは、別府八湯語り部の会 070-8474-1854 まで、お待ちしています。




*温泉マイスターnoteでも情報発信してます。
https://note.com/onsen_meister/n/ne84cec085c05

※これまでの「温泉マイスターおすすめの温泉」は下記のURlをご覧下さい。
https://note.com/onsen_meister/m/m4bd80cee2914


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