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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.5
「温泉水の源は何か?」

  表題に対する別府温泉での結論は、普通の温泉水も地獄の蒸気も、水のすべては雨水とみなしてよい、というものである。当たり前すぎて、面白くもおかしくもないかもしれない。しかし、別府温泉の将来を考えていくうえでは、たいへん重要な結論なのだ。
 雨水が温泉水になるためには、当然のこと、雨水は地下に浸透しなければならない。いろんなデータを突き合わせると、別府では、標高が六十メートルより高い地域、ざっと言えば、この春に開館したビーコンプラザより山の手が、雨水の浸透域になっているらしい。
 そのまん前にある私たちの研究所は、大正十三年に開設された。そのころの辺り一帯は、人の手がほとんど入っていない原野だった。原野や背後の山地に降った雨水は、効率よく浸透して、別府温泉を育んできたのである。
 その後の私たち市民の活動、たとえば、河川の改修、道路・建物・駐車場の建設は、自然の地表条件を大きく変えた。
 これを書いていたら、突然の豪雨となった。ビーコンプラザが面する富士見通りを、川のように雨水が流れ下っているのが見える。かつての原野の時代には、このような水の幾分かは、流れ去ることなく地下に浸透して、温泉になっていたに違いないのである。
 最近、隣の空き地に作られた県の駐車場には、雨水を浸透させるためのちょっとした工夫が施された。画期的な一歩だと評価したい。

  - 「大分合同新聞」夕刊  1995年7月29日 -


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別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものから温泉に係るものを順次ご紹介します。