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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.37
「ドナウの黒いボート」

 ドイツ南部のシュヴァルツヴァルト(黒い森)を発して東に向かい、いくつもの国を通って、ルーマニアで黒海に注ぐドナウは、流域面積でも、長さでも、ヨーロッパ随一の大河である。

 ルーマニアの東部、ウクライナとの国境の近くにトゥルチャという港町がある。およそ2800キロメートルを延々と流れてきたドナウが作りだした、広大なデルタへの入口に位置する。ドナウの分流が網の目のように錯綜するデルタは、野鳥や野獣の棲息地であり、また、多種多様な魚の宝庫である。ドナウ漁業の基地でもあるトゥルチャには、漁村の臭いがあった。

 この港から、デルタへの観光船が出る。ほぼ真東に流れるスリナ分流を下った。黒海から遡上してくる客船や貨物船も多い。

 両岸には点々と集落があり、岸辺には真っ黒く塗られたボートがつながれている。時折、そのボートが、航行する船に向かって、ぶっつかりそうになるまで、いっさんに漕ぎ寄せてくる。船がスピードを落とすと、ボートの人は船に飛び乗る。漕ぎ手は舳先をめぐらして、帰っていく。黒いボートは、渡し舟であった。

 ルーマニアとは、「ローマ人の国」という意味だそうである。その国名に象徴されるように、古代ローマに支配された歴史をひきずっている。黒いボートによる渡し守の仕事にも、2000年の時の流れが込められているのかもしれない。半年前に見た、漕ぎ手の若者の紅潮した顔を思い出すと、感動した気分が今でもよみがえってくる。

※ルーマニアの温泉(ルーマニア観光情報局)
スパ & ウェルネス http://www.dtac.jp/caucasus/romania/entry_87.php
温泉スパ http://www.dtac.jp/caucasus/romania/news_555.php

  - 「大分合同新聞」 1995年3月-



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