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HOME温泉マイスターおすすめの温泉>第11回 七里田温泉「下湯(ラムネの湯)」~凄まじい泡付きに驚愕~

第11回七里田温泉「下湯(ラムネの湯)」 
~凄まじい泡付きに驚愕~

シニア・マイスター 甲斐心也

 今回はシニア・マイスターの甲斐が、大分県竹田市久住町の七里田温泉「下湯(ラムネの湯)」を紹介します。


 「日本一の炭酸泉」で知られる竹田市の長湯温泉から、車で10分ほどの静かな農村地帯にあり、もともとは地区の共同浴場だったのが、一般に開放されています。

 温泉研究家の郡司勇氏が『私も日本一の炭酸泉は、ここだと思っています。名湯ですね。身体が泡発生器になったような温泉は、全国広しといえども、ここが第一ですね。』と語るほどに、多くの温泉ファンが名湯として認めています。私はここに特別な思い出がありますので、その事を含めてご紹介しようと思います。

 ここに初めて訪れたのは今から48年前、学生時代にサークルのキャンプの帰りでした。当時はまったく世間に知られておらず、地元民のみが利用するジモ泉でした。浴舎は今よりずっと質素(ボロ)で、かなり長い階段を下った先に、今とおなじ浴室があったと記憶しています。しかし、浴舎の場所は今と同じですから、「かなり長い階段」は記憶違いでしょう。当時は「炭酸泉」というものも知らず、タオルを何度洗っても泡が消えないのに閉口した事を思い出します。 


平成28年4月16日、震度7を記録する熊本地震が発生し、ここも激しい揺れに襲われました。その直後に、「ここが地震の影響で休業しているとの情報を聞き、尋ねてみた。やはり、温泉館の入り口には「休業中」の張り紙があったが、「木の葉の湯」は通常通りの営業だ。受付の方に伺うと、湯量が低下し、泡付きが弱くなっているので休業しているとの事だった。「よければ無料でいいので、後で感想を教えてください」とのありがたい言葉をもらい、早速浴舎へ向かった。常連の先客が一人おられ、浸かってみると確かにいつもの泡付きではない。泡は付くのだが、泡が徐々に大きくなって、次々と肌から離れていく感じがないのだ。湯温も34℃ほどで、いつもよりぬるめだ。浴槽の縁から流れ出る湯の量はいつもと同じぐらいで、湯量の低下は気にするほどではない様だ。浴後、無人の女湯を覗いてみると、湯が濁っており、オーバーフローする湯もごくわずかで、こちらの影響が深刻のようだ。ここは自噴泉なので、元通りになるのを待つしかない様だ。はやくいつもの泡付きを取り戻すことを心から願いたい!!!」(平成28年4月29日入湯記より)


 この時は、長湯のラムネ温泉館が地震の影響で泡付きが凄くなったと聞き、駆け付けてみたりもしました。そして、2カ月ほどして源泉の状態も元に戻り、営業を再開したとの報に接し、ほっと胸をなで下したものでした。

 泉質名は「含二酸化炭素-マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」で,泉温36.3℃,PH6.3,成分総計4,443mg/kgです。

 現地案内板に「七里田温泉今昔物語」として、以下の説明があります。「この七里田温泉地帯は大船山などの噴火が終って弥生時代から古墳時代には温泉を中心に大変栄えていた様で、それを多数の住居跡や木の葉の石が物語っています。(中略)父宗暦は鎮則に(出湯の儀在所の飾りに候間方式修理掃除当申付事云々)温泉はこの地方の宝なので土地の決め事を守って修理や掃除などの怠りこと無い様に申し付けなさいという教訓状を与えている。後に播州三木城より転付してきた岡城主三代目中川久清などは、寛永三年(1663)に、ここに御茶屋建て湯治に使っていた記録が残っていて当時(湯守の人を置き)米一石五斗を与えて、温泉の管理に当たらせたようです。明治四年には四室二十二畳と十二畳の二戸を建て一日いくらかの家賃で一般の人も利用していたようである。湯治の温泉は神の湯・御殿湯・上の湯・下の湯・新湯など多くの温泉があったようで遠くから湯治客や、商人などが集まって賑やかな温泉場であったようで大変歴史の古い温泉場です。この下湯はその名残を今に留めています。」


 遊離二酸化炭素の含有量は1,113mg/kgで、源泉温度36.3℃であれば、炭酸泉としてそれほど優位性のある数値ではありません。ちなみに長湯の「ラムネ温泉館」は32,3℃でCO₂は1,380mg、九重筌ノ口の「山里の湯」は38.3℃でCO₂が1,800mgです。
 では、なぜこれ程の泡付きがあるのかですが、一つには源泉と浴槽の距離が近い事でしょう。浴舎の裏に源泉口がありますが、ポリパイプが突き出ているのがそれで、浴槽までは1m以下の至近距離です。二つ目は浴槽の大きさに対して源泉の投入量が多いです。鉄分で赤く染まった湯縁全体からあふれ出して、洗い場を洗い流しています。つまり、鮮度の高い源泉が浴槽に常に大量供給されているという事なのです。


京都大学名誉教授の由佐悠紀先生によれば、七里田温泉や長湯温泉の二酸化炭素泉はプレートテクトニクス理論で説明できるそうで、「2億年もの時間をかけて太平洋を移動してきた海洋プレートは、アジア大陸のプレートにぶつかり、その下に沈み込んでいる。長湯温泉の炭酸ガスはマグマ起源で、その炭素の約70%は海で生成された炭酸塩起源である事がわかっている。プレートに乗っていた堆積物中のサンゴや貝殻などのカルシウムが、マグマに取り込まれ炭酸ガスとなったもの」との事です。 不感温度なのでいつまでも浸かっていられますが、二酸化炭素の働きで血管が拡張して血行がよくなり、じわじわと体の内側から温まってくるのが感じられます。一人の入浴時間が長くなってしまうため、いつでも込み合っているのが難点ですが、いつまでの大切に残しておきたい名湯です。


●七里田温泉「下湯(ラムネの湯)」
 住所:大分県竹田市久住町有氏4059-1
 電話:0974-77-2686
 時間:9:00~21:00
 料金:¥500




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