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第27回 豊富温泉  ~日本最北の温泉郷~

執筆者北海道大学大学院地球環境科学研究院
准教授・温泉マイスター 藤井 賢彦

 豊富と書いて「とよとみ」と読みます。日本最北端の稚内市の1つ南の豊富町にあります。大正時代に石油の掘削を試みたところ温泉が出たという開湯の経緯があり、温泉にも石油成分が多分に含まれています。この成分がアトピーや乾癬などの皮膚疾患に効能が高い温泉として有名です。
 豊富温泉は温泉と共に発生する天然ガス(温泉付随ガス)の量も文字通り豊富で、しかもその成分は都市ガスと同じくメタンが主成分で、都市ガス用のコンロやガスファンヒーターに温泉付随ガスをそのまま供給するだけで使えます。
 また、豊富温泉ではこの温泉付随ガスを活用したコジェネーション(熱電併給)システムを導入しており、温泉付随ガスを燃料に発電した電気は温泉街に供給すると共に、発電の際に発生する熱も源泉温度が35℃と若干ぬるめな温泉の加温に使うことで、温泉付随ガスの有効利用とCO2削減を実現しています。
 北海道では2018年9月に発生した北海道胆振東部地震の際、北海道全域が停電するという未曽有の災害に見舞われましたが、このコジェネーションシステムは停電時も稼働して温泉街には電気が供給され続けたそうです。温泉付随ガスが発生する温泉は他にも沢山あります。温泉やそれを取り巻く街づくりの今後の在り方の参考になるのではないでしょうか。
 なお、北海道のコンビニエンスストア、セコマで販売している牛乳は全て豊富町産であるなど、とても酪農が盛んな街で、当然ソフトクリームも美味しいです。また、ラム肉やエゾシカ肉といった北海道に特徴的なお肉も美味しいです。

 ※訪問時に湯治客多数につき温泉の写真を撮影できなかったので、温泉そのものの様子は豊富温泉コンシェルジュ・デスクhttps://toyotomi-onsen.com/
等を合わせてご覧ください。

参考資料
●豊富町ウェブサイト
https://www.town.toyotomi.hokkaido.jp/
●豊富温泉コンシェルジュ・デスク
https://toyotomi-onsen.com/consult
●髙橋 拓史, 温泉付随ガスの有効利活用に向けた研究: 北海道豊富町におけるケーススタディ, 北海道大学大学院環境科学院修士論文, 60pp, 2020.
●髙橋 拓史, 藤井 賢彦, 池上 真紀, 北海道における温泉付随ガスの有効利活用に向けたシナリオ評価, 第15回日本LCA学会研究発表会, 東京, 2020年3月10日.


写真1. JR豊富駅前のゲート。日本最北の温泉郷に来たことを実感させられる。


写真2. 温泉分析書


写真3. 温泉付随ガスをそのまま利用しているガスファンヒーター。
寒冷地ではとても重宝する。


写真4. 温泉に隣接する、温泉熱を利用したコジェネレーション(熱電併給)システム。




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