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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.10
「大分県温泉調査研究会」

 温泉を掘ったり、ポンプを設置しようとするときには、昭和二十三年に施行された温泉法に照らして、その可否が審議されることになっている。
 審議を合理的に行うには、科学的な根拠が必要である。その根拠を得ることを第一の目的として、昭和二十四年七月十六日に大分県温泉調査研究会が発足した。創立メンバーは、大学などの研究者・県議会議員・関係市町村長・温泉組合やボーリング業組合の代表者などであった。
 以来、この会は、研究主体へと性格を変えながら、半世紀にもわたって、県内の温泉に関する研究調査を続けてきた。
 取り扱われた分野は、地質学・地球物理学・地球化学などの地学から医学・薬学、そして法社会学と広い範囲に及び、機関誌第五十号までに公表された報告の数は四百二十編を超える。
 発足して五十年目に当たる七月十六日に、その記念式典が挙行されたのであるが、会を創設された先達の多くはすでに鬼籍に入られている。
 私は、五十年間の業績をまとめる役目を仰せつかり、報告書を読み直したのであるが、その量の多さはもちろんのこととして、それ以上に、内容の豊かさに圧倒された。それぞれの時代における温泉研究をリードしたものが少なくないのである。
 しかしながら、それらの優れた業績は、必ずしも広く知られているとは言い難く、社会へ還元する手だてを探る必要のあることを痛感している。

【別府温泉事典から】
 昭和23(1948)年7月10日、温泉に関わる法律「温泉法」が公布施行され、これに基づいて温泉行政が進められることになりました。その重要な柱は温泉井戸掘削の許認可業務で、実際の業務は都道府県知事が行います。各都道府県では、知事の諮問機関「温泉審議会」を設けて、これに当たろうとしました。
 大分県でも温泉審議会が設置されたのですが、科学的根拠のある合理的な掘削基準を探るために、別府市にあった京都大学火山温泉研究所(現:地球熱学研究施設)に相談しました。
 これが契機となって、大分県内の温泉研究者・温泉行政担当者などを会員とする温泉の調査研究機関が組織され、昭和24(1949)年7月16日に「大分県内における温泉の科学的調査をして公共の福祉増進に寄与すること」を目的として、「大分県温泉調査研究会」が発足しました。なお、事務局は、大分県の温泉行政担当課内に置かれました(現在:大分県生活環境部生活環境企画課)。
http://www.beppumuseum.jp/jiten/ooitakenonsenchosakenkyukai.html


【大分県のHPから】
 「大分県温泉調査研究会」は、温泉の科学的調査研究をして公共の福祉の増進に寄与することを目的に、昭和24年7月に発足しました。
 現在、80人の会員で構成されており、県、10市2町及び温泉登録分析機関からの会費により運営されています。
 調査研究は、毎年8~12題の研究テーマについて京都大学、九州大学、大分大学及び国立病院機構別府医療センター等の研究者によって実施されており、その成果は研究発表会及び年次報告書により公表されています。
※昭和25年からの調査研究報告書(約550編)は下記のURLからご覧になれます。
http://www.pref.oita.jp/site/onsen/onsen-kenkyu.html

  - 「大分合同新聞夕刊」  1999年7月 -


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別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介します。