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別府温泉辞典

あ か さ た な は ま や ら わ

大分県温泉調査研究会

おおいたけんおんせんちょうさけんきゅうかい

 昭和23(1948)年7月10日、温泉に関わる法律「温泉法」が公布施行され、これに基づいて温泉行政が進められることになりました。その重要な柱は温泉井戸掘削の許認可業務で、実際の業務は都道府県知事が行います。各都道府県では、知事の諮問機関「温泉審議会」を設けて、これに当たろうとしました。
 大分県でも温泉審議会が設置されたのですが、科学的根拠のある合理的な掘削基準を探るために、別府市にあった京都大学火山温泉研究所(現:地球熱学研究施設)に相談しました。
 これが契機となって、大分県内の温泉研究者・温泉行政担当者などを会員とする温泉の調査研究機関が組織され、昭和24(1949)年7月16日に「大分県内における温泉の科学的調査をして公共の福祉増進に寄与すること」を目的として、「大分県温泉調査研究会」が発足しました。なお、事務局は、大分県の温泉行政担当課内に置かれました(現在:大分県生活環境部生活環境企画課)。
 上に記した目的は会則第3条に述べられているのですが、当初の具体的目的が「大分県の温泉行政の指針となる科学的知見の収集」であったことは、初代会長・長谷川万吉教授(京都大学理学部;京大火山温泉研究所長)の筆になる、機関誌「大分県温泉調査研究会報告」第1号(昭和25年7月刊行)の序文から伺われます。実際、記念すべき1番目と2番目の報告は、この線に沿ったものでした。

1番目の報告
 瀬野錦蔵・山下幸三郎:別府温泉に於ける湧出量の相互関係に就いて
2番目の報告
 山下幸三郎:別府温泉の総調査の結果に就いて



 同様の調査研究はその後も続けられ、それらを基にして、大分県における温泉の掘削基準(井戸口径、井戸間距離、動力による揚湯量など)が策定されたのです。
 以来、毎年途切れることなく調査研究が行われ、その結果が公表されてきました。現在は、大分県を対象とした各種の地球科学的研究に加えて、温泉医学や微生物学の研究、法社会学・観光地理学の研究なども取り上げられています。
 平成26(2014)年7月発行の「大分県温泉調査研究会報告 第65号」までに公表された論文・報告数は550編に迫ろうとしています(温泉分析書や講演会等の記録は除く)。それらは、別府温泉地球博物館のリンク先「温泉の研究-大分県のホームページ」からダウンロードすることができます。

執筆者由佐悠紀)