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別府温泉辞典

あ か さ た な は ま や ら わ

温泉法

おんせんほう

 昭和20年8月15日に太平洋戦争が終結し、わが国の諸制度は変革を迫られました。古から日本人が愛してきた温泉も、そのマネジメントを従来の慣習的なものから、法律に基づいたものに変えることになり、昭和23(1948)年7月10日、温泉に関する法律「温泉法」が公布施行されました。その目的は、第一条に下記のように定められました。

第一条 この法律は、温泉を保護しその利用の適正を図り、公共の福祉の増進に寄与することをもって目的とする。(注1)

(注1)これより60年後の2008年、第一条および関連する条文が改正されました。末尾の囲み記事「温泉法の改正」をご覧ください。



 第二条では、「温泉とはどういうものか」という温泉の定義が示され、その別表で温度と物質(化学成分)の基準値が定められました。たとえば、温度は25℃以上(「温泉科学 第1回」を参照)、化学成分の総量(ガス性のものを除く)は1000mg/kg以上となりました。(注2)

第二条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。

2 この法律で「温泉源」とは、未だ採取されない温泉をいう。

別表
一 温度(温泉源から採取されるときの温度とする。) 摂氏25度以上
二 物質(下に掲げるもののうち、いずれか一) 
   温泉水1 kg 中
 溶存物質 総量1,000 mg以上 (ガス性のものを除く)
 遊離炭酸    250 mg 以上
   (以下略)



(注2)この温度の定義については、混乱があったようです。たとえば、大分県総務部企画調整課が昭和26年8月に発行した「大分県の地質と地下資源」には、次のような記事があります。
「一般に温泉と言えば37℃以上の湧泉をいうのであるが、先般公布された温泉法によると、たとえ温度が低くても、湧泉が種々の成分を含有すればこれを温泉の中に含めている。そうして37℃以下を(土地の平均気温よりも高温のものを)微温泉と言っている〔又25℃以下のものを鉱泉と呼んでいる〕。」


 この法律の重要な骨格は、第一条で謳われている「温泉の保護」です。具体的には、温泉井戸の掘削は合理的になされなければならないということでしょう。そのため、掘削に当っては、温泉法第三条および温泉法施行規則に基づいて都道府県知事の許可を得なければならないとされています。これを受けて、各県では県ごとに施行規則などを定め、申請された案件の適否について学識経験者等の意見を求め(注3)、判断を下すようにしています。

第三条 温泉をゆう出させる目的で土地を掘削しようとする者は、(中略)都道府県知事に申請してその許可を受けなければならない。
  (以下、略)

(注3)
 この件について都道府県知事が諮問する機関は、かつて「○○県温泉審議会」と呼ばれましたが、現在は組織・名称が変えられています。大分県における諮問には、「大分県環境審議会温泉部会」が当たっています。また、掘削の基準は「大分県環境審議会温泉部会内規」として定められています。



 上に述べた掘削のことに加えて、温泉の採取および利用を業務として行う場合は、所定の手続きを経て都道府県知事の許可を得なければなりません。また、温泉を公共の浴用や飲用に提供する場合には、必要事項を見やすい場所に掲示しなければならないと定められています。
 以上の事柄を含めて、温泉に関する条例などは、インターネットで閲覧することができます。


温泉法の改正
 平成19(2007)年6月19日、東京都渋谷区の温泉施設で、温泉に付随した天然ガス(主成分はメタンガス)が引火・爆発し、3名の犠牲者が出るという事故が起きました。そのため、第一条は下記のように改正され、平成20年10月1日付けで施行されました。

第一条 この法律は、温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 この改正に伴い、可燃性ガスに関わる新たな条文が付け加えられ、また、温泉法施行規則も改正されました。

執筆者由佐悠紀)