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松田 繁 著『別府、浜脇町鉱泉に関する取調書類』

「第2章 別府浜脇温泉」について

 第二章では、先ず、「まえがき」に当たる部分で、温泉を湧出させる二つの方法が紹介されています。その一つは、自然湧出地の地表を掘り下げて湯槽を設け、その底から湯を湧出させる方法で、出来た温泉は「掘湯」と呼んでいます。古来の温泉は、こうしたものだったと推察されます。すなわち、地表近くを流れている湯だけを利用していました。
 もう一つは、人為的に(小口径の)井戸を穿って、そこから自噴する湯を浴槽に導くもので、明治時代になって導入された新しい方法です(別府温泉事典の最初の掘削を参照)。井戸を穿つ行為は「穿井」、できあがった温泉は「穿湯」と呼ばれました。現在の別府市の温泉は、ごく一部を除いて、ほとんど全てが穿湯に当たります。ただし、多くの源泉では、自噴しなくなりましたので、なんらかのポンプを使って汲みだしています。
 これら二種の温泉について、開発の経過、温度と湧出量およびそれらの変化、深さなどがまとめられ、更に、温泉の保護策が提案されています。その保護策は、井戸間の距離などの数値はともかくとして、考え方は現代にも通用するものです。

 文中には、第2図(温度分布図)と第3図(深さの分布図)のことが記されていますが、章末に第2図だけを紹介します。温度分布もさることながら、源泉の分布に注目してほしいと思います。

 各源泉の調査結果については、その一覧表を次回(最終回)に紹介します。

(由佐悠紀)




第二章 別府浜脇温泉

 別府浜脇両地方の温泉は、速見火山の噴出物なる集塊質泥流(灰白色の火山灰中に円石を混入せるもの)中に湧出するものにして、此地方に於ては、温泉浴場に対し温泉湧出の方法に二種類あり。一つは自然湧出に係るものにして、其箇所の地表を掘り下げ此処に湯槽を設け、其下底より湧出せしむる方法なり。他の一つは、人為的穿井に依りて湧出せしめ、之を湯槽中に引湯する方法なり。前者に比し、其費用の廉なると且つ使用上便宜なるとを以て、其後漸次増加し来り、近来は両町内至る所穿井を見るに至れり。今下に現況を詳記せん。

(一)温泉の数

 別府浜脇両町内に於ける現在温泉湧出箇所の数は、第二図並びに末尾に添付せる温泉調査表に基づき調整したる下表に示すが如く

年度 別府町内 浜脇町内
明治 掘湯 穿湯
掘湯
穿湯  
24年以前 17 1 2   20
25   3     3
26         0
27 2       2
28   3     3
29   2     2
30   4     4
31 1 7   1 9
32   7     7
33   17     17
34   18     18
35   22   3 25
36   24 1 4 29
37   21   17 38
38(2月迄) 1 5   2 8
25年以降で
年未詳のもの
  11 1 1 13
21 145 4 28 198

 別府町内に於いては掘湯21、穿湯145、浜脇町内に於いては掘湯4、穿湯28、合計198ヶ所の多きに達し、之を穿湯の始まりし頃、即ち明治25年より以前に存在せし数と比較するときは明治24年以前より存在せるものは僅かに20ヶ所(内1個の穿湯は明治15年の穿湯井に係る)に過ぎずして現在数は略ぼ此拾倍に増加せるを見る。其原因たるや毎年逐次増穿しつつある穿湯に基けるものにして、主に33年頃より其数を増加し来り、37年度は其数38を示すに至れり。

(二)温度及深さ

 別府浜脇両町内に於ける温泉の温度深さ及湧出量は温泉調査表に示すが如くにして、之を掘湯及穿湯の両種に分ち、更に穿湯を其温度の高下に従い数種に色別するときは、第2図に示すが如き状況を呈し、掘湯並びに温度の最高を示せる穿湯は、別府町内ありては略ぼ流川筋に沿へる一線上に主に羅列し、浜脇町内にありては、東ノ湯及西ノ湯附近を中心とし、此附近より略ぼ流川筋に並行し、西西北より東東南の方向にある線上に主に羅列するを見る。尚、此直線の方向にある海中にありても、干潮の際は海底より露出せる砂中に温泉を湧出するを両町共に認むる所にして、此方向は先に概説したる温泉脈の方向に一致し、此両軸を中心とし之より遠ざかるに従ひ、漸次低温となり別府町内にありては妙見川を限りとし、其以北従来穿井したることあれども、温泉を湧出したることなく、又別府浜脇間の地は所々に温泉あれども、孰れも低温に属し、浜脇町内にありては、入江町通、魚町通、附近の地は地下僅距離にして温泉湧出に富めるも、薬師町を限り其南にありては、温度其北に隣接するものよりも著しく低落し、又薬師町以南は何處も飲用に適する清水を湧出すれども、其北方朝見川迄に至るの間は冷水と雖も多少温泉質臭気を帯び、飲用に適する清水を得べからずして、略ぼ薬師町をその境界となせるが如し。
 次に、温泉湧出の深さに就きて見るに、温泉調査表に基き掘湯及び穿湯の両種を区別し、穿湯を更に其深浅に依りて色別するときは、第3図に示すが如く、浅き箇所に湧出する温泉は別府町内にては流川筋、浜脇町内にありては東西両温泉四近にありて、温度色別図に符合し、此両筋を遠ざかるに従ひ漸次深く穿井せざるときは、温泉の湧出せざるが如し。尚又、第2図及第3図を比較するときは、同列に存する温泉と雖も深き箇所より湧出するものは一般に高温を呈せリ。例令ば、別府町内流川筋に於ける第51番より第59番に至る各温泉、第17番仝源左衛門川筋に於ける第1番、第2番、第4番、浜脇町に於ける第18番、第19番、第22番等の他の同列のものよりも高温なるが如し。
 終りに、別府浜脇両地方の温泉の温度は別府地方に於いて高温を呈し、別府には摂氏60度以上のもの10数泉あれども、浜脇地方のものは最高温60度以下にして、其湧出の箇所少なく、且つ、深さにありても別府地方のものは浅くして湧出を見るもの多しとす。之れ蓋し浜脇温泉脈にありては、其源なる火山活動の余勢漸次減退したるに由るならん。

(三)温度及湧出量の変化

 温泉の温度及湧出量は密接の関係を有し、湧出量の多きものは概して高温を呈す。別府浜脇地方に於ける温泉の温度及湧出量も変化を来すべきものを類別するに下の8種あり。
(1)潮水の干満、(2)天候、(3)季節、(4)流水の多少、(5)溝渠の開設、(6)湧出箇所の深浅、(7)穿井の年代、(8)附近の穿井。

(1) 潮水の干満

 此地方たるや瀕海の地なるを以て、毎日潮の干満に依り其湧出量に影響を蒙ること多く、海岸に接するものは其影響著しくして、其時期は殆んど入浴に適せざる低温に降下す。浜脇地方は一体に土地低く沖積層の砂粘土より成れるを以て、其影響は東西両温泉附近の地に及び、東西両温泉の如きは大潮の際は三面許、小潮の際は一面必ずしも酌み換へざれば、満潮の後、其温度を回復せしむる能わずと云う。入江町及魚町附近の温泉も又同様なり。之に反し、海岸より遠ざかる場所に湧出する温泉は、満潮の際、其湧出量を増加すると同時に、概して干潮の際よりも比較的高温を呈するもの多しとす。是、蓋し、海岸に接するの地は直ちに潮水の影響を受くれども、海岸より遠ざかる地方にありては、満潮に当り其水準を高めたる海水は其圧力に依り四近の砂中及岩中の裂罅を通して地中に入り込み、更に上昇するものなるを以て、其間に地下の温度を付与せらるると、及び湧出量を増すを以て浴槽中の温湯を早く交代せしむる外、湧出量の少なき時よりも地中を上昇の際四周より温度を奪はるること少なきとに依るならん。以下、皆同一の理由にて湧出量の増加に伴ひ高温を呈す。

(2) 天候

 湧出量は晴天の際に少なく、降雨の時に多し。従って、温泉は降雨の際に高温を呈す。

(3) 季節

 湧出量は毎年、旧3月頃より旧8月頃迄の間多くして、旧1月及2月の頃最も少なく、即ち、降雨量の多き夏期殊に梅雨中湧出量最も多くして温度高きも、春秋は少なく、空気の乾燥せる冬期に湧出量最も少なくして、温度も又最低なりとす。其他夏期に湧出量多き原因として温泉地四近の田面に水を灌漑する等の事にあり。九日田の湯の如きは、冬期は温泉の湧出を見ざるも、梅雨の季節頃より夏に掛け其湧出を見る。此例、各所に多し。

(4) 流水の多少

 温泉地附近を流るる河水の増減は又温泉湧出量に変化を来すべきは見易き事にして、浜脇温泉に其適例を見る。浜脇温泉四近即ち薬師町以北の地は、先に述べたるが如く、何れの地も飲用水に欠乏せるを以て、旧時は飲料水を各自河上より酌み来りたるしも、十五六年前より以来、主に河内川の上流より土管に依りて、各町共、大家は家毎に、小家は数戸組合の上、各自其庭内に導き、之を飲用水に供するに至りてより、河内川は其水量を減じ、従て東温泉の如きは十五六年前に比し、現今は其湧出量三割を減じ、西温泉の如きは仝五割の減量を見るに至りしと云う。又、洪水に際しては、砂泥土を流出すること多きを以て、湯口を埋め泉源を止むることあり、長石の湯に見るが如し。

(5) 溝渠の開設

 温泉湧出箇所附近に深き溝渠を開設するときは、溝渠中に温泉を湧出せしめ、附近の温泉湧出量に減少を来さしむ。其例は、東温泉及竹瓦の湯に於いて嘗て之を見たり。東温泉は今を去る二十年前、排湯を善くせんが為め仝地より海岸に向かい溝渠を開掘せしに、却て元湯の湧出を減じ温度降下を見るに至りしを以て、再び其溝渠を埋没するに至りたりと云う。
 竹瓦の湯にありても排湯をよくせんが為め海岸に向い溝渠を設けたるに、同じく湧出量に減少を来せしを以て、溝渠に面する湯槽の方面に松丸太を打込み「セメント」を以て其方面を固結せしめ、温泉湧出を溝渠に流れ込ましめざる様、防御工事を施せしに、再び湧出量及温度を恢復したりと云う。

(6) 湧出箇所の深浅

 湧出箇所の深きものは湧出量多く、又、高温を呈す。従って、穿湯は其四近の掘湯よりも皆高温に属し、又、穿湯と雖も近来は湧出量の多きと高温とを得んが為め、逐年穿井の深さを増加するの傾向あるが如し。参考の為め下表を掲ぐ。

別府町内穿湯の深さ及穿井年度表
穿井年度明治 5間未満の穿井の数 5間以上10間未満 10間以上15間未満 15間以上20間未満 不明 穿湯の数
明治15年度

1

1
仝25年度 3



3
仝28年度 1 2


3
仝29年度 2



2
仝30年度 1 2 1

4
仝31年度 1 4 1
1 7
仝32年度
5 1
1 7
仝33年度 2 12 3

17
仝34年度 1 7 6
4 18
仝35年度 2 11 8
1 22
仝36年度 2 14 7
1 24
仝37年度 1 8 11 1
21
仝38年度 2
2 1
5
年度未詳 1 6

4 11
19 71 41 2 12 145
   明治38年度は2月下旬迄

浜脇町内穿湯の深さ及穿井年度表
年度
明治
5間未満の穿井の数 5間以上10間未満 10間以上15間未満 15間以上20間未満 20間以上のもの 不明のもの 穿湯の数
31
1



1
35 1
1

1 3
36 1 2 1


4
37 1 1 6 8 1
17
38


2

2
未詳




1 1
3 4 8 10 1 2 28
   明治38年度は2月下旬迄

(7) 穿井の年代

 穿湯に限り、其穿井の新しきものは湧出量多く高温なれども、年月を経過するに従い、次、第に其湧出量を減じ、温度も又従て降下す。之れ、穿湯は単に竹管の挿入されあるのみなるを以て、年月を重ぬる間、孔底より土砂上昇し、若しくは竹管の破損を来たし、其箇所より土砂侵入し湯口を閉く(塞ぐ)に基因す。従て、穿湯は普通三四年乃至五六年にして渫井を要す。

(8) 附近の穿井

 温泉湧出量は以上の如く、潮の干満、天候、季節、流水等に関し、自ら定量あるべきものなれば、温泉湧出箇所附近に於ける新規穿井は一体に其水準を降下せしむべきこと明瞭にして、且つ、近来は何れも湧出量の多きと高温とを望み、漸次穿井を深くするの傾向あるを以て、為めに此附近にありて、従来岩中の狭き裂罅を通し、浅き箇所より湧出しつつある温泉あらんか、又は幾分にても湯口に損傷を来せるものあらんか。温泉は此の如き支障ある箇所より湧出するよりも、新規穿井に係る自由なる湧出地より盛に湧出し得べきを以て、遂には其附近に於ける従来の温泉湧出量に変化を及ぼすべき原因となるべし。
 別府地方は元来温泉の湧出量に豊富なるの故か、同町内百数十箇の温泉中、穿井当時と現今とに於て、湧出量及温度に差異を来せるものあれども、其多くは湯口の破損若しくは季節に基く減降に属し、唯附近の穿井に基く影響とも認めらるべきは、下の三温泉ありしのみなり。

1. 楠湯は旧来湧出量多く、温度高かりしも、附近穿井の結果、著しく減量し、温度降下せしを以て、三十六年及三十七年の両度に、新たに二箇所を穿井し、此両所より目下給湯しつつあり。
2. 亀井秋次所有の穿湯は、同人の新規穿井に係る第107番の穿湯の為、以来其湧出量を減少せり。
3. 第130番日名子太郎所有の穿湯は、掘井当時地上21尺許高く湧出し、四近の温泉中最高温なりしも、附近に穿井するに至りし以後、其湧出量と温度とを減少せり。

 浜脇地方に於いては、穿湯の数少なり、且つ、密接せるもの少なきを以て、新たに穿井の結果、近傍に於ける旧来の温泉に影響を来たせしと云うを聞かざれども、掘湯に於いては其影響を認めらるる所なり。浜脇の地たるや沖積層に属し、泥流の上方に砂層を戴き、地勢漸次東北に緩斜せるを以て、旧来の掘湯の東北に接近し、新たに掘湯を設くるときは、温泉は砂層を伝わり後者の掘湯より湧出し、旧来の掘湯は其湧出を減少するに至るの事実は、度々此地に於いて目撃せられたりと云う。現今存在する東西両温泉は、明治35年中改設せられたるものにして、其位置は其以前に存せし東の湯、西の湯なる掘湯の位置よりも約三四間東北に移動し居れりと云う。而して、旧時に逆上るときは、元浜脇地方に温泉ありし位置は、目下字湯ノ上と称し、尚遥に西方に当れる所にして、其当時、現今の掘湯の位置は、沼地となり居りしと云う。依て、此地方は沖積層の砂層の上方に、約一尺許の泥層を存す。

(四)温泉の保護策

 前項に説明したる事実に基き、当地方温泉の保護に就きて考うるに、之を概括せば、(1)温泉の源となるべき水源の涵養、(2)穿井に対する制限の二つあるのみなり。

(1)温泉の源となるべき水源の涵養、更に之を別ては次の如し

1. 別府浜脇四近の地は荒蕪の原野多きを以て、河流は降雨に際し著しく増水するも、平常は河水に乏しく、且つ、原野は泥流より成り、灰質の砂礫より成るを以て、雨水は地下に浸潤し易き代りに、又乾燥し易く、従て温泉も又、降雨に際し著しく湧出を増すも、旱魃の時は又、著しく其湧出を減少するを以て、此等の差を少なからしめ、絶えず湧出を計らんが為め、温泉地四近は伐木を禁止し、水源涵養林を奨励設立するにあり。
2. 河水の一部は地下に浸入し温泉の源となるべきを以て、温泉地附近の流水を土管等にて他に導き、温泉地近傍を浸潤せる水量を減少せしむべき所為は可為制止するにあり。
3. 同一の理由に依り、河流の方向を人為的に変更せしめざるにあり。若し河流の方向を変更せしめんか、以前附近に多く湧出を見たる温泉に変動を与うるの憂あり。
4. 温泉湧出箇所に近き所に於いて、其湧出する水準よりも深き溝渠を開設せしめざるにあり。之を開設せんか、附近温泉の水準を降下せしむるの憂あり。
5. 別府町内乙原の山麓に開坑採掘しつつある木村金山は、向後水準以下を採掘し、坑内水を排除するに至る場合にありては、別府浜脇地方並に観海寺の温泉等に支障を及ぼすの憂あり。
 抑も木村金山鉱区内に敷及せる鉱脈中、主脈と覚しきもの四條あり。豊金坑と称し採掘せし鉱脈(注:原本では「金偏に通」の漢字で「ヒ」と読む)は、走向真東西なれども、他の三鉱脈即ち見滝及万歳の両坑に渉れる鉱脈と朝日坑及第二朝日坑内に現わるる両鉱脈とは、何れも西西北より東東南の走向に亘り、略ぼ浜脇温泉脈の方向と其方向を一にし、其坑内は他の金山に比し、著しく高温を呈し、牡丹坑の如きは、目下事業を中止し居れるに拘わらず、同坑内よりは絶えず暖き蒸発気を吐出しつつありて、其坑内は華氏90度(注:32.2℃)以上の高温となり、鉱脈の生成旧時の温泉作用に依るものの如く、鉱脈四近の岩石は当地方各地の温泉に見るが如き、分解したる白色若しくは黄色若しくは赤色を呈し、坑内の空気は多少の硫化水素臭を帯べり。現時に於いては、未だ水準以下の採掘に従事せず、従て坑内に出水なきも、漸次掘進せば排水の方法を講ずるに至るべく、排水量多くなるに伴い、近きは観海寺遠きは別府浜脇地方の温泉湧出に影響を来たすべきやの疑念あり。

(2)穿井に対する制限

 新規穿井に係る穿湯の旧来の温泉に影響を及ぼしたるの例証は、此地方に於いて意外に少なしと雖も、元来其湧出量に影響を及ぼすべきは前項に述べたるの次第なるを以て、穿湯は其数及び其深さに制限を付すべきを妥当なりと信ず。而して、其制限に就ては、此地方に最も参考となるべき類例を発見し得ざりしを以て、之を断定するを得ざるも、余の想像に依れば、以下の制限を設くるを要す。

1. 新規に穿井すべき穿湯は、現存せる穿湯に対し少なくとも10間(約18m)以上の距離を、及び現存せる掘湯に対しては20間(約36m)以上の距離を隔つるにあらざれば、穿井せしめざること。(掘湯に対し多くの距離を置かしめたる所以は、掘湯は皆浅くして湧出するものなれば、其附近に於ける穿井は穿湯の場合よりも其影響を蒙ること大なるによる。)
2. 新規に設くべき掘湯は、現存せる掘湯対し少なくとも10間以上を隔たしむべきこと。
3. 新たに設くべき穿湯の深さは、其四近に於ける穿湯の平均深さよりも深からざらしむべきこと。(別府浜脇両地方共に、其温泉脈に遠近の差により温泉湧出の深さを異にするを以て、其温泉脈に近接せる地方と遠離せる所とは凡そ其深さに一定の率あることは先に述べたるが如し。)
4. 以上の制限に反し新たに穿湯を設けんとするものは、四週に於ける温泉所有者の承諾を得せしむべきこと。

 以上の規定たるや、直接に地方の営業者に関係ある事なれば、各区に温泉組合を設けしめ、深さの制限に関しては、区毎に適当の規定を設け、取締らしむべきものならん。

以上


別府町・浜脇町の泉温分布:原図は「約3千分の1」の縮率で描かれています。




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