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【赤色系】(沈殿物の色)代表的な例は、『豊後国風土記』に「赤湯泉」の名称で記載されている別府温泉郷の「血の池地獄」です。発色成分は、沈殿物に含まれる「赤鉄鉱:Hematite Fe2O3」と「鉄明礬石:Jarosite KFe3(SO4)2(OH)6」。このうち、赤鉄鉱は赤色を、鉄明礬石は黄色を呈するので、両者の混合の割合によって、赤色の鮮やかさの度合いが異なります。 |
【灰色~黒色系】(泥の色) 地獄の景観を特徴づける泥池や泥火山の泥は、写真2・写真3のように、灰色から黒色系の色(いくらか青みを帯びていることがある)をしていることが多いようです。別府温泉郷の明礬温泉では、似たような色をした粘土から湯の花を作っています。
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【白色系】(沈殿物の色)
石灰華(炭酸カルシウム沈殿物)・珪華(シリカ沈殿物)・石膏華(硫酸カルシウム沈殿物)・食塩などポピュラーな温泉沈殿物の基本的な色は「白色」です。世界的に有名なのは、トルコの世界遺産(複合遺産)の「パムッカレ」でしょう。パムッカレとは、トルコ語で「綿の城(宮殿)」という意味だそうです。まさに写真4のように真っ白ですが、これは温泉水から沈殿した「石灰華」です。わが国でも、石灰華はあちこちの温泉でみられます。しかし、不純物のために着色していることが多く、たとえば、長湯温泉(大分県)の石灰華は少量の鉄分のために茶色っぽい色をしています(写真5)。 |
【青色~白色系】(温泉水の色)
別府温泉の熱水池(地獄)や露天風呂のなかには、美しい青色をしているものがあります(写真6)。これらの温泉に共通していることは、いずれもが沸騰泉で、ほとんどが「中性~弱アルカリ性」の「ナトリウム-塩化物泉」で、多量のシリカ(ケイ酸)が溶存しているということです。
コロイドのサイズが光の波長〔可視光線:およそ380nm(紫)~780nm(赤)〕より小さいときは、入射する光のうちの短波長の成分(紫~青)が選択的に散乱されるので(レイリー散乱)、温泉水は青く見えることになります。コロイドが結合して、そのサイズが光の波長より大きくなると、全ての光の成分が散乱されるので(ミー散乱)、温泉水は白色に見えることになります。 以上のように、「温泉の青色・白色」と「沈殿物」は、一連の物理的・化学的な過程で結びついているということが出来ます。 温泉水が酸性の場合は、シリカ分子の重合が進まないので、コロイドは生成されません。しかし、温泉水が清澄でプールがある程度深いときには、入射する光の長波長成分(赤色系)が水分子によって吸収されて、青色っぽくみえます。この状態のとき、なんらかの微粒子が混入すると、それによる散乱が起こって、青色が微妙に変化します。よく知られている「海地獄」(写真8)は、その代表的な例です。 熱水(温泉水)中のコロイドはシリカだけではありません。例えば、阿蘇中岳・草津白根山(湯釜)・蔵王(御釜)など、活火山の火口に溜まった水も、シリカコロイドによる青色とは色合いが異なりますが、青色系の色を呈しています。これらは、硫黄のコロイドによる発色と考えられています。写真3の泥火山の火口の水が白いのは、粘土類のコロイドによるミー散乱のためではないかと思われます。
パムッカレ(写真4)の青色温泉水 |
【褐色~黒色系】(温泉水の色) 大分市の温泉は、1970年代の初め頃から開発が進んだ非火山性温泉で(吉川・北岡、1981)、塩分濃度の高い温泉と低い温泉があります。前者は海水起源で、温泉水は無色透明のものが多く、後者は陸水起源で、褐色や黒色に着色しています。これは、古い時代に地層が堆積したとき、陸水(河川水や池・沼の水)とともに閉じ込められた植物が腐食して生じたフミン酸などの色と言われています。 |
【紫色】(泥鉱泉の色) 温泉の中には、温泉水の流路やプールが緑色や紫色に着色していることがありますが、その多くは藻類によることが多いようです。 (
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